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本 の 小 部 屋

はじめに

本にもいろいろなものがあります。
知識を得られる本,おもしろくてたまらない本,心にしみわたる本。
ここに紹介したのは私のなかでパンと葡萄酒のような役目をしてくれた本達です。
読んで面白く,楽しい娯楽としてだけの本ではなく,何かが残る本。
いつまでも忘れられず,思い出す物語。
私がそう感じた本達です。


本を読むのも大好き!

おことわり
下に紹介してある本達はすべて文庫です
読むスピードが早いのと経済的事情?で
もったいないので新刊本は買いません

本屋さんごめんなさい




大好きな本たち






スナーク狩り/宮部みゆき
計画的に自分を利用して捨てた元恋人の披露宴で散弾銃で自殺しようと釣具店で銃身に詰めるための鉛の板を購入した慶子。慶子が散弾銃を所持しているのを知り,慶子の散弾銃を奪おうとする釣具店の織口。
彼は別れた妻と娘を二十歳になったばかりのシンナー中毒の男女に面白半分になぶり殺しにされていたのです。公判を見に行くたびに,加害者の自責の念につよい疑惑を感じるようになった織口はある計画を立て,慶子の散弾銃を利用して真相を知ろうとします。

日頃から好意を抱いていた穏やかな同僚の織口の普段と違う態度に疑問を抱き,織口のしようとしてる事に気づいて必死で止めようと後を追う修治。兄の酷い仕打ちのせいで慶子を追い詰めた事がこの事件を引き起こす事になったのに責任を感じ,修治と共に織口の後を追う慶子の元恋人の妹,範子。事態は逃げ出した人殺しの男女に織口達,警官も巻き込んだ銃撃戦となり破滅の時に向かって走り出します。

もしも自分の愛するものが嬲り殺しにされ,犯人の受けた処罰があまりにも軽いものだったら,愛し,信じていた相手に故意にひどい裏切り方をされたなら‥‥。

あまりにも残酷な目にあわされた時,人の心は逃げ場が作れず化け物に変わってしまう事があるのかもしれません。


好きな作品がたくさんありすぎてひとつを選ぶのが大変でした。
宮部みゆきさんの作品は何となくスティーブン・キングの作品とと似ている所があるような気がします。
あがき続けながら生きていく ”人間”への静かな優しい視線,みたいなものを感じます。

龍は眠る,震える岩,燔祭〜クロスファイア,
ちょっと変わった?ところで,ステップファザー・ステップ(双子ちゃんが可愛い)



影武者徳川家康/隆慶一郎
関ケ原の戦いで徳川家康は実は暗殺されていた,という前提の時代長編。

命運を分ける関ケ原の戦いで徳川家康は元武田の忍に暗殺されてしいます。家康なくして徳川方に勝利の見込みはなく,徳川方はやむを得ず影武者であった世良二郎三郎を家康として戦を続け,ついに勝利を得ます。これで自分の仕事は終わったと思った二郎三郎でしたが,運命は家康として生き続ける事を要求していました。

嫡子・秀忠による徳川政権が確立すれば本来影武者である二郎三郎の命はありません。自分の身も大切でしたが,もともと何にもとらわれず自由を愛する野武士あがりの二郎三郎は狭量で残忍な性格の秀忠が天下の舵を握るのを良しとはしませんでした。

家康の側近達の中にも秀忠の気性に徳川滅亡の危機を見る者達がいました。それらを味方に自分を陥れ殺そうとする秀忠方の数々の罠や暗殺の刃を策略を巡らせて乗りきり,一方では着々と自分の足場を築いて ”家康”として生き続けていく二郎三郎。
やがて,伝説の風魔忍軍を味方につけ,徳川家嫡子秀忠抱える裏柳生との壮絶な戦いが繰り広げられます。

まさに息もつかせぬ展開です。
時代劇を好まない方にもぜひお薦めします。

この方の作品も好きなものが多すぎてとても迷いました。
HPの ”漫画も読むよ”,のページで紹介した漫画 ”花の慶次”の原作,”一夢庵風流記”もすっごく面白いよ。



沈黙/遠藤周作
キリシタン弾圧の激しかった時代,師であるフェレイラの棄教を信じられず,彼を追って日本に潜入したポルトガル司祭ロドリゴ。村人の密告で捕まった彼がそこで見たものは日本人信徒に加えられる凄まじく残忍な拷問と苦痛の果ての死でした。
”神は何故これを見過ごされるのか。
村人の命と引換えに棄教を迫られ,ついにロドリゴは背教の淵に立たされます。

なぜか,密告者で裏切り者のキチジローに惹かれます。
脅されれば簡単に棄教し,司祭を役人に売り渡し,それでも自分が裏切った司祭をずっと追い続けて。

もしも,自分だったら,苦痛と死の恐怖に耐えられるだろうか。
耐えて,信念を貫く強靭さが自分にあるとは思えない。
だから,キチジローは自分かもしれない。
信じているものを自分の弱さから棄て去って,それでも,それを忘れる事ができなくて。
棄てたはずのものをこっそりと追い続けて。

ロドリゴが心に聞く踏絵のキリストの言葉に涙が止まりません。

この方の作品はユーモア小説も人気がありますけど,私はどちらかといえば,女の一生,深い河,等,正統派?が好みです。


不機嫌な恋人/田辺聖子
平安時代を舞台に,宮廷きっての美女,小侍従と,その年下の恋人,名うてのプレイボーイの二条の少将との恋の物語です。

宮廷きっての美女と噂される小侍従は,美人で頭もセンスも良く,機転も利き,蓄財の才能もなかなかのもの。縫物や香の調合,ちょっとした薬の調合もできるというそつのない女性。帝のお覚えもめでたく,宮廷でも指折りの男性達から言い寄られ,恋多い女と言われています。
でも,現在の恋人,年下の少年のような少将に,実は本気で恋をしています。少将も小侍従を愛していると言い,自分自身もそう信じていますが,聡い小侍従は少将の恋が自分と同じくらい深い物ではないことを感じています。

やがて少将は遊び心で清水寺に参籠に出かけるところを覗き見した子持ちの未亡人の女性になぜか心を奪われてしまいます。若く美貌で身分もあり,将来も有望な少将に言い寄られても女性は少将を愛してはくれません。一方,自分に対する少将の愛はほんとうのものではないと最初から覚悟はしていた小侍従ですが,少将を深く愛していたため,少将が他の女性を愛している事を知り,深く苦しみます。

逢瀬の最中でも心をよぎっていく別れの予感や,ふとした言葉に伺われる愛する人の背信。人を好きになる事で生まれてしまった苦しみや心の醜さなどを細やかに描き出しています。

ストーリー以外でも,お香や薬の調合,髪の手入れのシーンなど,当時の風俗が偲ばれるシーンも素敵です。

田辺聖子さんの作品もとても好きでたくさん読みました。洒脱なストーリー展開も良いんですけど,関西の雰囲気が味わえるのも気に入っています。それに,出てくる食べ物で ”おいしそう!”と思うものがたくさんあります。関東ではお目にかかった事がないようなものもあったりして,食い意地の張っている私にはごちそう?です。

関西の言葉って好きです。柔らかくて優しげで表現が剥き出しじゃなくて。
もちろん,地域ごとの差,ってあるでしょうけど。
昔,京都に遊びに行った時,電車の中で周囲の女性達の話し方があまりに優雅なので,関東下町海側がさつ?地帯で育った私と友人達は思わず自然におしゃべりを止めたのでした。
自分達の言葉遣いが,俺?達は男?!っていうくらい粗暴な話し方に思えちゃって。(^_^;)

日毎の美女,出ばやし一代



風子/平岩弓枝
街角の鯛焼屋で知り合った三味線の名手,お千代とひとりぼっちの風子。お千代の三味線に魅せられた風子は頼み込んで内弟子にしてもらいます。ところが,風子の三味線の腕はあっという間に上達し,やがて芸者としてお座敷に出るようになります。
三味線を弾いている時の描写がそれは雰囲気があります。
”風子,湯の宿へ行く”に出て来る三味線の名手が弾く地唄の「雪」,ほんとにああいうのがあるなら聞いてみたい。肌が粟立ちそうですね。

この本を読んで,本気で三味線を習いに行こうかと思った阿呆な私です。(^_^;)


アンドロイドお雪/平井和正
幻覚剤の密売人の老人が独身の刑事,野坂に遺産を残します。それは時価数百万ドルはすると言われる,特A級アンドロイド,美しい人間の娘にしか見えないお雪でした。最初は自分が逮捕した事もある犯罪者の老人から訳もなく高価な遺産を貰う事を嫌がり,お雪を追い出すつもりだった野坂でしたが,おどおどと野坂を伺いながら追い出されまいと必死で家事をするお雪のあまりに人間的な儚げな様子に哀れをもよおし,とうとう部屋に住まわせてしまいます。
でも,お雪は普通のアンドロイドではありませんでした。
やがて野坂の周辺には次々とトラブルが発生し,野坂自身も体調を崩していきます。

人間そっくりに創られ,その複雑な頭脳ゆえに自我が芽生え,愛する事を知ってしまうアンドロイド。昔から物にも心があるような気がしてしかたない私にしてみると,アンドロイドクラスは感情を持つ事になるのは当たり前のような気がしてしまうのです。

アンドロイド,ロボット物では,眉村卓の ”わがセクソイド”矢野徹の ”私はロボット”も好きです。
翻訳物では,エドマンド・クーパーの ”アンドロイド”があったっけ。










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