本 の 小 部 屋

はじめに

本にもいろいろなものがあります。
知識を得られる本,おもしろくてたまらない本,心にしみわたる本。
ここに紹介したのは私のなかでパンと葡萄酒のような役目をしてくれた本達です。
読んで面白く,楽しい娯楽としてだけの本ではなく,何かが残る本。
いつまでも忘れられず,思い出す物語。
私がそう感じた本達です。


本を読むのも大好き!

おことわり
下に紹介してある本達はすべて文庫です
読むスピードが早いのと経済的事情?で
もったいないので新刊本は買いません

本屋さんごめんなさい




大好きな本たち




翻訳物


ジョナサンと宇宙クジラ/ロバート・F・ヤング
Jonathan and the Space Whale/

私の中ではナンバーワンの1冊,の短編集


表題の ”ジョナサンと宇宙クジラ”は心優しい宇宙鯨と,同じく優しい人間のジョナサンの友情?の物語です。

遠い昔,遭難した宇宙船と人間を見捨てておけずに飲みこんでしまい,体内に人間の世界を作らせてしまった宇宙鯨。
人が生きていくための営みで体を侵されてしまった歳若い巨大な宇宙鯨は自分を狙撃しようとする宇宙船に自ら近づいていきます。宇宙船の乗組員だったにもかかわらず,化け物?のような宇宙鯨に生物を認め,ついに狙撃できず宇宙に放り出され鯨に助けられる心優しいジョナサン。
鯨の体内で生活し,愛する女性も得て日々の暮らしを過ごしながらも気にかかるのは自分や人々を助けてくれた宇宙鯨のことでした。鯨とコンタクトをしていたジョナサンはいつかこのままでは鯨も自分達も共倒れになることを知り宇宙鯨と共に解決の道を探ろうとします。

最後に,去っていく宇宙鯨(実は宇宙鯨の種族としては年若い ”女性”でした)がジョナサンに残す 
”あなたの昼が日ざしに満ち,あなたの夜が愛に満ちたものでありますように‥‥” の祈りの言葉がほんとうに美しい。人が生きていく事と私達の地球についても考えさせられる一編でもあります。

どの短編にも優しさと愛を感じさせる珠玉のような言葉がちりばめられ,心洗われる1冊です。辛い事や悲しい事があったときにはぜひ読んで頂きたいです。

いかなる海の祠に,ジャングルドクター,リトル・ドッグ・ゴーン等


わたしは無/エリック・F・ラッセル

このなかでの私の No.1は ”どこかで声が”です。

宇宙空間で岩の塊に衝突した宇宙船から救命艇で脱出した数人の人々は新世界を夢見て宇宙艇に乗りこんだ民間人と数人の宇宙飛行士だけでした。着陸した惑星は呼吸できる空気もあり動物も植物も存在する生存できる条件を満たしたものでしたが,人間が生き残っていくには厳しい環境の惑星でした。

救助ステーションへたどりつこうとする必死の道程でひとり,また,ひとりと犠牲者が増えていきます。けれど,その過程ではひとりひとりの思わぬ人間性が現れてきます。

最後に生き残った男は,自分を犠牲にして倒れた東洋人を背負い,半ば正気を失ったまま目的地を目指します。内心,ちびで臆病な彼,東洋人である彼を軽蔑していたのに,もうすでにその小男がその時にはもうかけがえのない ”友”になっていたからです。
皮肉にもその時やっと救難信号を聞きつけた救助艇が降下して来ますがもう錯乱した彼にはそれを知ることもできません。でも,その救助艇のやってくる音が彼の耳に響き渡る声に聞こえます。
”悩める者,重荷を負うもの,すべて我のもとに来れ” という声に。

他に表題の ”わたしは無” ”ディアデビル”もとてもいいです。

別の短編集 ”パニックボタン”では ”証人” がとても好きです。私はこの短編を読んで初めて自由の女神の台座に彫ってある文の内容を知りましたが,”いろいろあるだろうけど,アメリカって素晴らしい国だな” としみじみ思わせる文でした。


ラモックス/ロバート・A・ハインライン

SFの大御所ハインラインのユーモラスな長編。
何でも食べてしまう陽気で可愛い怪獣? ”ラモックス”とラモックスがひきおこす事件に巻きこまれ振りまわされる,飼い主?の少年ジョニーやその周囲の人々のどたばた騒ぎを描いています。
実は,ラモックスは地球よりはるかに文明の進んだ異星の生物で,同族を誘拐されたと思ってかんかんになって乗り込んで来た異星人?との間で惑星間戦争勃発の危機が?!
ジョニーとラモックスの友情でこの危機を乗り越えられるか。

何しろ挿絵がめちゃくちゃ可愛いです。アニメにしてくれないかな〜。ヒット間違い無しだと思うけど。

”月は無慈悲な夜の女王”も面白いよ。

火星年代記/レイ・ブラッドベリ

独特の雰囲気を持った作品です。透明感と寂寥感,滅びの雰囲気,というか。

ブラッドベリの作品の短編で,深海に住む恐竜の生き残りが灯台の霧笛に惹かれて姿を現す ”霧笛” を漫画家”萩尾望都” の作品で読んだことのある方も多いのでは。


シャンブロウ/C・L・ムーア ノースウェスト・スミスシリーズ

街で群集に追い詰められていた若い女を助けたノースウェスト・スミス。宿に連れて帰りますが,女は美しいけれど異星の生物でした。やがて現れる女の正体は地球でも太古からの伝説にもある古い恐ろしい種族の生き残りでした。とてつもなく恐ろしく,それなのに美しく魅惑的なシャンブロウがたまりません。

このシリーズは神秘的な美女が山盛り?です。
”炎の美女”も素敵。
ギリシャ神話を読んでると連想が働いてしまいます。


喪服のランデブー/コーネル・ウールリッチ

心無い乗客が何気なく小型飛行機の窓から捨てた小瓶。愛し合った恋人との待ち合わせ場所へ行った主人公の男性が見たものは無残にうちくだかれた恋人の死体でした。あまりの変わりようにその死が信じられず,毎日毎日待ち合わせの時間にその場所に出かけ,いつまでもたちつくす主人公。やがてその死を飲みこめると同時に深い喪失感から復讐を始めます。その日飛行機に乗り合わせていた乗客が愛している人をひとりひとり殺して。ラストシーンがとてもとても悲しいです。


ウォッチャーズ/DR.クーンツ


動物,特に犬好きにはたまらない1冊だと思います。
主人公が山の中で出会った風変わりなゴールデンレトリバーは極秘プロジェクトの実験の結果作られた人間の言葉を理解する犬でした。心を閉ざしていた主人公もいつかこの不思議な犬に心引かれていきます。

しかし,アインシュタインと名づけられた情愛深くりこうなこの犬には,執拗に後を追う同じプロジェクトから生まれアインシュタインを激しく憎んでいる化け物のような生物殺戮兵器 ”アウトサイダー”,貴重な実験動物の行方を探す研究所,狂的な殺し屋等の追跡者がいました。

アインシュタインのおかげで無感動な生活から立ち直り愛する女性も見つけた主人公は,アインシュタインを守るために戦う事を選びます。同じようにアインシュタインのおかげで危機を救われ,それまでの閉ざされた暗い生活から開放されて主人公と愛し合うようになった彼女とともに。

後半では敵役のはずのアウトサイダーの悲しみと絶望に胸が締めつけられました。


アビス/オースン・スコット・カード

映画をご覧になった方も多いかと思います。公開当時SFXの凄さで話題になった映画 ”アビス”の原作です。

核弾頭を搭載したアメリカの原子力潜水艦が突然沈没し,核弾頭や機密文書の回収の協力を近くで油田掘削試験中だった深海作業艇ディープコアが求められます。しかし,原潜が沈んでいる深淵には思いもよらないものが潜んでいたのです。

主人公,バドとリンジー,異生物ビルダー達の心の動きにとても惹きつけられました。深淵に落ちた核弾頭を不発にするために死を承知で潜水していくバド,本当は心からバドを愛している事に気づき必死で戻らせようとするリンジー,人類を遥かにしのぐテクノロジーを持ちながら人間を理解しようとするビルダー達。

死を覚悟したバドが最後にリンジーに送ったメッセージは何度読んでも涙がとまりません。

他者を理解する事,受け入れる事,自分の義務を果たす事,素直な心でいることが結局自分も人も幸せにする事,いろいろなことを考えさせられました。


ペット・セマタリー/スティーブン・キング

キングは大好きでずいぶんたくさんの作品を読み,お気に入りもたくさんあるのでおすすめの1冊がなかなか決められませんでした。キングの作品はホラーのジャンルに入っているようですが,私はキングの作品の底にはいつも,人の弱さや脆さ,どうしようもない人の業のようなものへの ”愛”が流れている様な気がします。
そういう意味でこの作品の読後感の哀しさがキングらしい気がしてこれにしてみました。


メイン州の小さな町に越してきた幼い子供達のいる若い夫婦。その町の森にペットの共同墓地がありました。そしてさらにその奥の山中には古いインディアンの種族の言い伝えの魔法の場所,死者を生き返らせる場所があったのです。

輪禍にあって死んだ飼い猫を娘を悲しませないために近所の老人に連れられて埋めに行ったのがすべての始まりでした。翌日に猫は戻ってきました。腐った土の匂いをさせて。
猫はみかけは以前とまったく同じかわいいペットでしたが,どこか様子が違っていました。まるでまったく別の何かが中にいるかのように。

やがて幼い息子がトラックにはねられて死んだ時,父親のルイスは苦しみのあまり禁じられた場所に息子を埋めに行ってしまいます。でも,戻ってきたのは息子の形をしたまったく違う恐ろしい ”何か”でした‥‥。

かけがえのない愛するものを失った時に,もしも身近にそんな場所があったら,あなたならどうしますか?そこに埋めれば失う前と変わらない姿で戻ってくるとしたら‥‥。


アンの友達(第4赤毛のアン)
  アンをめぐる人々(第8赤毛のアン)/モンゴメリ

赤毛のアンは ”昔読んだなー”という方も多いかと思います。アンの娘リラまでの全10巻のシリーズでこの2冊はアンの友人や知り合いの人々が主人公です。

アンの友達/”めいめい自分の言葉で”
愛する娘を奪ったバイオリニストの男を許せず,娘が残した一人息子に好きなバイオリンを禁じた牧師のレナード氏は不品行で有名な港の女,ナオミを死の恐怖から救う事ができません。牧師の説教では自分は救われないと思ったナオミは牧師を迎えに来た孫のフェリクス少年にバイオリンを弾いて自分の気持ちを晴らす様に言いつけます。祖父の顔色を窺いながらもバイオリンを弾きだすフェリクス少年。ナオミの絶望的な目をみながら少年が弾きだしたのは音楽でありながら音楽でないものでした‥‥。

アンをめぐる人々/”茶色の手帳”
非常に短い一編です。
読んだ方の中にはデュマの ”椿姫”を思い出した方もいるのではないでしょうか。

赤毛のアンシリーズは自分では,”物語の聖書” というふうに感じています。人が幸せになること,人を愛する事,悲しみや利己心やいろいろなものを明るい優しさでくるみこんでいるようなこのシリーズが今も好きです。






トップページ

inserted by FC2 system